治療例 上顎前突(出っ歯)

日本人に多い、上顎前突(出っ歯さん)の治療例を紹介します。

主訴
(矯正を受けたい
と思った理由)
出っ歯
診断名 過蓋咬合・上顎前突
初診時年齢 10歳7か月
治療に使った装置
  • Ⅰ期治療…拡大ネジ付咬合挙上板、セクショナルアーチ
  • Ⅱ期治療…マルチブラケットシステム(MBS)、トランスパラタルアーチ(TPA)、ヘッドギア(HG)
抜歯部位 非抜歯
治療期間
  • Ⅰ期治療…動的処置1年、観察期間2年ほど
  • Ⅱ期治療…2年4カ月
治療費概算 Ⅰ期治療38万円、2期治療と合算で85万円ほど
(*当院の治療費に換算しての概算です)
コメント この患者さんの場合、治療期間が長いこと、特にⅠ期治療でセクショナルアーチを使用し、前歯を圧下(押し下げること)しましたので、歯根吸収のリスクや虫歯の発生のリスクがありました。
(幸いこの患者さんではこういったことは起こりませんでした。)また、叢生(ガタガタ)の部分は歯肉が退縮したままになっています。
成長期に過蓋咬合を改善したことで下顎の成長が見られ、歯を抜かずに出っ歯さんをなおすことができたと考えられます。
Ⅰ期治療の目的はこのように個人の持っている成長の力を最大限に生かせるようにすることです。
上顎前突の
治療のリスク
  • 成長期にスタートすると治療は長期間になります。
  • 前歯を移動させるためには抜歯や矯正用アンカースクリューなどの特殊な装置が必要となることが多く、前歯を大きく動かすため歯根吸収のリスクは大きいと考えられます。
  • 装置を装着することによる虫歯や歯の移動に伴う歯肉退縮、歯が大きく動くため口元の変化が顕著ですが、場合によっては思ったほどの変化がなかったり期待していたものと違った変化が起こることもあります。

一般的なリスクはこちら

Ⅰ期治療

上顎前突の矯正症例
↑初めて相談に来られた時の歯並びです。
出っ歯さんでかみ合わせも深く、このままでは下顎が上の歯に抑えられてしまってうまく成長できず、出っ歯さんが治らない可能性があります。

上顎前突の矯正症例
↑このように、部分的にブラケットをつけてかみ合わせを調整したり、取り外しの装置を使ったりします。

上顎前突の矯正症例
↑大人の歯にしっかり生え変わりました。下顎もちゃんと成長して、出っ歯さんがだいぶ良くなっています。
ガタガタもスペースがギリギリ確保できていますので、歯を抜かずにⅡ期治療(大人の歯の治療)を開始しました。

Ⅱ期治療

上顎前突の矯正症例
↑ブラケットをつけて、歯をいい位置に移動させていきます。

上顎前突の矯正症例
↑治療終了時です。出っ歯でガタガタだった歯がきれいに並びました。

上顎前突の矯正症例
↑最初からの治療経過です。
このように、早めの治療で顎の成長を妨げている原因を取り除きしっかりした成長を促してあげることが出来ます。

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